Ⅰ 疑惑、そして、自白 6-1

3月8日。太田警察署、第一取調室。取り調べ5日目。

昨日から本格的な自白を始めた国定徹の供述書の作成が進められていた。


供述調書
『わたくしこと国定徹は生活資金に困り、窃盗により金品を強奪せんともくろみ、太田市飯山の高山彦三郎さんが資産家であることを知り、高山さん宅に押し入ることを決断した。

そして、万全を期すために、同年2月27日に高山さん宅の下見をし、警備会社との契約や警報機の有無を確認、窃盗の決行にあたり支障をきたすような要因は見受けられなかったため、週末に高山さん宅に押し入ることを決断。

3月2日伊勢崎市内のホームセンター、カインズホームで護身用に刃渡り30センチの文化包丁を購入、その日は市内のパチンコ店『タイガー』で決行までの時間をつぶして過ごす。

同日深夜遅く、高山さん方近くの公園に車を止め、近所が寝静まっているのを確認し、3月3日午前2時、歩いて高山さん方へ向かう。そして高山さん方の裏手にあるドアを、持参したピッキング用具で開け、中に侵入。鍵を開けるのに要した時間はおよそ30秒だった。

台所を通り居間にでる、そして居間の仏壇の上から2番目の引き出しを開け、中から封筒に入った現金30万円を盗むことに成功。

しかし、隣の寝室で寝ていた家人の高山彦三郎さんに見つかり、高山さんと揉み合った末に高山さんを刺殺、またその騒ぎに目を覚ました高山さんの妻である良子さんに「なにをしている、やめろ、出ていけ」などと言われたため彦三郎さんに続き良子さんも相次いで刺殺。

気は動転していたものの怖さもありすぐに現場を離れた。

3月3日盗んだ金を使い、昼に伊勢崎市内のラーメン店『おぎやラーメン』でラーメンと餃子とチャーハンのセットを食べる。

それから同市内のパチンコ店『マツハン』でパチンコをし、夜は同市内の回転すし店『がっつり寿司』でイカ・中トロ・ハマチ・えんがわ・うに・ネギトロと生ビール2杯を飲食する。

そして、翌3月4日伊勢崎市内のパチンコ店『ダイナモン』でパチンコをしているところを伊勢崎署の署員に連行される』

「国定、間違いないか?」

渡辺はしかめ面で国定に聞いた。

「・・・はい」


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