翌朝、萩原たちがもどかしく鑑識の結果を待っていると、鑑識係の小渕が萩原たちのもとへやってきた。
「萩さん、出たよ」
「そ、そうですか!出ましたか」
新島の方が興奮して大声をあげた。
「今、指紋をデータベースで照合している。まあ、もうしばらく待ってくれや」
そう言い残して小渕は去っていった。
萩原は祈るような気持ちで待った。
前科があれば引っかかる、前科がなかったら、そしたら完全にアウトか・・・そんなふうに待っていると、新島が喜びと達成感をみなぎらせて照合結果を持って来た。
「あ、ありましたよ、萩原さん、でました。中島です!」
中島、やっと捕まえたぞ、と思いながら新島からプリントされたデータを受け取った。
『中島知也 29歳 傷害で2年の実刑』
中島・・・こいつだったのか、萩原は中島の顔写真を睨みつけた。
すると、その顔にどこか見覚えがあった。
「おい、新島!こいつの顔、どこかで見た覚えはないか?」
萩原は新島に手渡した。
どこだ、どこかで見てるぞ、こいつの顔、どこだ・・・と萩原は逡巡した。
「う~ん・・・あ、もしかして!」
新島はパソコンをいじり、カインズホームの監視カメラの映像を流した。
萩原もモニターに顔を近づけた。
「萩原さん、こいつ・・・こいつですよ!」
そこには中島知也が写っていた。
「そうだ、こいつだ!緊急配備!中島知也を至急確保だ!」
萩原はそう叫びながら、ふっと安堵の息をつきながらモニターの静止画像になっている中島知也を見つめた。
違う、俺が感じたのはこの感じではない、違う、どこだ、どこかで会っている、俺はこいつとどこかで会っている・・・。
!・・・田山だ!
金貸しの田山のところにいた、あの目つきの薄気味悪い男だ!
「新島!田山だ!中島は田山のところにいた男だ!田山のところに急ぐぞ!」
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