Ⅱ 疑惑への疑惑 3-3

「この前もテレビを見ていたら、電話の実験で、二人が電話をかけるうち、どらかが娘さんですが、どちらでしょう?お母さん、それを当ててください。という実験をやっていたんです。でも、実は電話をかけたのは二人とも娘ではなかった、って仕掛けなんです。

だけどお母さんは2番目に掛けた方が娘だって自信を持って答えてましたよ。つまりどちらかは娘だという確証バイアスがかかっていたために、一人目が違うということに気づいた瞬間に、これで、もう娘は二人目なのだからということで、一人目は間違え探しの要領で、二人目は確認の要領で電話を聞くんです。自分の都合のいいように。

何かの実験ってわかってさえこんな感じですから、こういったことが日常生活で何気なくポンっと起こったら、まあ、先生みたいになるのは至極当然かもしれませんね」

「ははは、そうなのか、いやぁ山本君に慰められるとはなぁ」

「え、いや、慰めるとか、そんなんじゃ・・・」

「いや~でも、なかなかおもしろいよ」

確証バイアスか・・・山中は胸のうちで静かにつぶやいた。

0 件のコメント:

コメントを投稿