そして、国定が凶器の包丁を買ったとされるレシートに印字された時刻、12時37分の前後2時間分の監視カメラ・防犯カメラの映像を確認した。
一見したところ、そこには国定の姿は見られなかった。
もしや、と思い萩原慎太郎は、気持ちを引き締め直した。
萩原たちはホームセンターの店長の了承をとり、そのビデオを警察でしばらく預かることにした。
そして、監視カメラに国定が写っていなかったことを山中に知らせ、署に戻ってからもう一度精査する由を伝えた。
萩原は先入観を捨て、事件を振り出しに戻して考えてみようと思った。
そこで事件の現場である、太田市の高山さん宅へ新島と向かった。
高山宅では息子の真彦が、自分の生家であり、事件の現場である屋敷を開けてくれた。
萩原たちは、あからさまに迷惑そうな顔をした真彦に迎えられた。
「刑事さん、事件はもう終わったんですよね?どうしたんですか?」
「いえ、まだ裁判の途中でして、完全には終わってませんから、是非ともご協力ください」
新島は腰を低くして、真彦に言った。
萩原も無言で真彦に頭を下げる。
「はやくしてくださいよ・・・」
真彦はぶつぶつ言いながら萩原たちの後について歩いた。
萩原慎太郎は、国定徹の頭を殴ったとおぼしきものがあるかどうか台所を探していた。
「高山さん」
「へっ?」と、思いのほか真彦が驚いたような声を出したので、萩原のカンが少し疼いた。
「いや、あの事件の際に、何か硬いものとかが壊れていたりしてませんでしたか?花瓶だとか、ポットだとか、そういったものなんですけど」
「さあぁ、そこらじゅう荒れてましたし、業者に頼んで片付けさしたんで、わからないですねぇ」
「そうですか・・・」
何か知っているか?
真彦は何か知っているのか?
と萩原は思いながら考えに沈んだ。
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