Ⅱ 疑惑への疑惑 4-3

「そうですか。それはどうもありがとう」

山中は二人に礼を言い、紹介されたコンビニに行った。

コンビニに着くとしばらく待たされた後、国定茂が店の裏手にやってきた。

「すみません、お待たせしまして」

「いえいえ、こちらこそお仕事中に申し訳ないです。国定徹さんのことで少しお話をうかがいたいと思いまして」

「徹?・・・ああ、カエルね、あいつもね、驚いたよ。強盗だけじゃなくて人まで殺しちゃうんだからな」

「最近お会いしたことは?」

「ないね~。ここ数年はこっちに戻って来てないみたいだし」

「そうですか・・・ところで、さきほど『カエル』とおっしゃいましたが」

「ああ、あだ名ですよ。徹のあだ名。この辺はみんな国定でしょ、だから名前呼ぶのは下の名前か、もしくは、あだ名で呼ぶんですよ」

「はぁ~なるほど、『徹』だから『カエル』ということですか?」

「そうですね。あとは、あいつはちょっと強く言うとものすごくビビって何もできなくなっちまうんですよ。まあ、気が弱いっていうか、意気地がないっていうか。そうは言っても俺もイジメてた方ですから、その辺はなんとも」

国定茂は頭をかきながら答えた。

「はあ、なるほど、そうとう気の弱い性格でしたか」

「そうそう、それでね。『カエル』っていうあだ名は、誰かが奴にちょっと強く言うと、いつも蛇に睨まれたカエルのように縮こまっちまうから、それで『カエル』ってつけたんですよ」

「なるほど・・・」

山中秀行は、手帳に『カエル』と走り書きした。

「いや、ありがとうございました。大変参考になりました」

山中はそう言うと、前橋拘置所の国定徹のもとへ向かった。

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