Ⅲ 弁護士の直感+刑事の嗅覚 VS犯人の姦計 1-4

「そうですか。でも協力して頂けるならこちらも心強いです。国定は、自分は頭を殴られたと言っています。傷のようなものも確認しました。ですから、その凶器のようなものがあれば、国定の言うことは真実ということになります。あと、国定は、自分は包丁を買っていないと言っています」

ほ~、おもしろい…と萩原は思った。

「でも、国定は確かカインズホームで買ったと自白してますよね、しかも日にちまでばっちり…」

新島はメモをとる手を止めた。

「なるほど、真実の暴露か。確かレシートが証拠品の中にあったな、なあ新島?」

萩原慎太郎は、含みを持たせた感じで言う。

「あ、はい、確かにありますね」

「だったら店の防犯カメラを調べて、国定徹が写っていたら?どうだ、新島」

「あ、そうですね。写っていれば国定は完全にアウトですね」

「じゃあ、写っていなければ?」

「写っていなければ…」

「もし写ってなければ、一歩真実に近づくだろうさ・・・」

少し先の未来を見つめながら。萩原慎太郎はつぶやくように、そう言い残した。

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