Ⅲ 弁護士の直感+刑事の嗅覚 VS犯人の姦計 7-3

高山夫婦殺害事件の真犯人にわずかに繋がっている細い糸を手繰って、萩原たちは田山実のもとを訪れた。

田山の事務所は太田駅の北側にあり、一方通行が多い道路を、新島がもどかしげに車を走らせた。

古い雑居ビルの3階にある田山の事務所を訪ねると、ひょろっとした背の高い、鈍い切れ味のナイフのような目つきの男と、一見すると一昔前のその手のもののような身なりの派手な男がいた。

新島が警察だと告げると、背の高い男が、それじゃまた、と言い残して萩原たちをじろりと一瞥してからゆっくりと去っていった。

口元はヘラヘラしていたが、目には薄気味悪さを湛えていたその背の高い男が、萩原は少し気になった。

「さっきのは誰?」

萩原は残った男に尋ねる。

「え?ただの友達ですよ。それよりなんすか、刑事さん、俺、何もやってないですよ」

「あなた田山さんだよね?」

新島が訊いた。

「そうですけど、何か?」

田山のその態度から、田山は何か知っているが、同時に自信もあるなと萩原には感じられた。

「いや~、ちょっと聞きたいことがあるだけだよ、ほんのちょっとさ、」

新島が続ける。

「なんすか?」

「太田の高山夫婦殺害事件でね、調べているんだけどさ」

「あぁ、あれっすか。それがどうかしたんですか?あれって犯人捕まったんですよね?まだ何か調べてるんすか?」

「いや~まぁ、ちょっとね。それでね、犯人が言うには、あんたから高山さんちが週末留守になるって聞いたってね、そう言うもんだから」

「え?俺が?どうして・・・本当に?」

田山の目が右上に動いた。

「そうなんだよ。田山さん、あんた国定徹と面識はあるよね?」

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