「やってねえんだよ。これだけは本当だよ。やってねえんだよ・・・俺は・・・」
「いつまでもそんなことグダグダ言ってんじゃねえよ!!」
渡辺は思い切り両手を机に叩きつけた。
轟は溜息をつきながら、しばらくの間、見慣れた天井のシミを見つめた。
「わかった、わかったよ。信じるよ、俺はね、国定さん、あんたのこと信じるよ。だから、その時間どこにいたのか、それは言えるだろ?」
「・・・信じるもんか・・・言ったって、信じるもんか」
国定は小さな声でつぶやいた。
「なぜだい?なぜ信じないってお前さんは思うんだい?」
「・・・だって警察は、いつだってそうだろうがぁ。人を犯人扱いして・・・いつだってそういうもんだと思って、俺が悪いと思って・・・」
「?まあ、事情はよくはわからねえが、そりゃお前さんの思い違いだよ。まあ、なかにはこのな、渡辺みたいなちょっと熱い奴がいてな、ちょっと無理することもあることは俺も認めるよ。でもな、警察だよ、そんなのお前さん、弱い者の味方だよ。お前さんの味方だよ。だからな、早く話しちまいなよ。話しちまって楽になりなよって、なあ?」
「・・・わかったよ・・・言うよ。信じてくれるなら言うよ」
「そうか。うん、いいぞ、お前だってな、言っちまった方がな、うん。それでお前さんはどこで何をしてた」
「その時間・・・俺は・・・俺は、そこの家にいた」
「よし、いいぞ。お前もなあ、初めからそうやって素直にやってればな、うんうん。その時間、お前は高山さんの家にいたんだな?間違いないな?」
国定は無言でこくりとうなずいた。
「それで、高山さん夫婦を刺した?それでいいな?」
「ち、違う、だから俺はやってないって言ってるだろう?俺は知らない。知らないよ、なあ、刑事さん、信じるっていったろ?あんたさ、俺のこと信じるって言ったよな?なあ?言っただろ?」
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