Ⅰ 疑惑、そして、自白 4-3

「そ、それは・・・」

「なんだ?え?なんだ?言ってみろ、盗んだんだろ、え?高山さんところから盗んだ金なんだろ。え?」

「・・・」

「え?なんだ、言えねえのか、言えねえよな、え?お前の持ってた金からもルミノール反応が出てるんだよ、え?高山さんの血がついてるんだよ、こらぁ!」

国定は真っ青な顔になった。

「知らねえよ・・・」

「知らねえ訳ねえだろが!え?お前が持ってた金、あれはどこから持って来たんだ。え?言ってみろ、言えって言ってんだろうが!」

「・・・だって、入ってたんだよ・・・ポケットの中に入ってたんだよ、本当なんだよ、信じてくれよ、なあ刑事さん、信じてくれよぉ・・・」

「てえめぇな・・・」

国定が憚ることなく大粒の涙をこぼし始めたので、轟はいきり立つ渡辺を制した。

「うんうん、国定、いいぞ、いい感じだぞ、そうだよな、思い出してきたよな。うん、ポケットの中に入ってたんだな、金はポケットの中に入ってた、うん、そうだよな、わかるよ、俺にはわかるよ。でな、国定よぉ、そのな、金な、ポケットに入る前にな、そいつはどこにあった?」

「・・・だから、知らねぇ・・・って・・・」

「いいや、お前は忘れてるだけだよ、きっと思い出す、思い出すさ、なあ国定、お前はな、ちぃとばかし思い出すのが苦手なんだよな、明日になったら思い出してくれるよな。え?」

「・・・本当に、俺はァ知らねえんだよ・・・」

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