Ⅲ 弁護士の直感+刑事の嗅覚 VS犯人の姦計 5-3

「え?わたしが?」

山中秀行は、次女の加代に目を向けた。

「だってさぁ、お父さん、最近、ずっとマック、マックって言ってるでしょ?だから食べたいのかなぁってさ、ねえ、あーちゃん?」

加代は長女の亜沙子に同意を求めた。

「まあ、お父さんも大人だから、マックが食べたくて、マック、マックって言っていたのかわからないけど、確かに加代ちゃんの言う通り、ここのところマック、マックって言っていたわよ、お父さん」と亜沙子も言った。

「ええ、俺が?マックって?そんなこと言ってたかなぁ?」

山中は苦笑いした。

「言ってたのよ。だから、おばあちゃんにマック買ってきてって頼んだの。そしたらモスになっちゃったけど」

「だって同じハンバーガーでしょ?」

不思議そうに恵子が訊いた。

「全然違うって。でもお父さんがマックじゃなくてもいいなら、わたしはモスも好きだからいいんだけどね、へへ」と加代は笑った。

「お父さんは、そんな、どこの何が食べたいなんてのはないよ、子どもじゃないんだから、ハハハ」

「え~そうなの、だってあんなにマック、マック言ってたじゃない?」

「マッ・・・マークか、ああ、マークのことか、そうか、そうか・・・」

山中は合点がいき一人満足そうにうなずいた。

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