「はぁ、そうですか」
「ちょっと待っててくださいよ。奥に子どもがいますから・・・ちょっと、おい、孝洋、ちょっとね、弁護士さんが話があるってよ」
しばらくすると、奥から40がらみの男が出てきた。
「え?なに?話って、前にも警察に話しただろ?」
「いえね、今度は弁護士さんだって」
「あぁそうなんだ」
「どうぞ、お話を聞かせてもらえませんか。国定徹さんがどんな感じの人だったかを知りたいのですが」
「どんなって、まあ、あいつが人を殺すなんてね。驚いたよ」
「そうですか。驚かれましたか?」
「ええ、だってあいつは人を殺すようなタマじゃないですよ。せいぜいがコソ泥の器だよ。それが、まあ人を殺しちまうんだから、なかなかやるもんだね。なんてこと言っちゃあ亡くなった人に悪いよな。でも、あのいじめられっ子で弱虫の徹がよぉ」
「そうですか。本人もやってないって言っているんですよ」
「へ~、そうなんですか。だったら本当にやってないかもしれませんね」
「え?どういうことですか?」
「まあ、ちょっと見にはわからないかもしれないですけど、あいつはちょっとね・・・」と国定孝洋はこめかみの脇で、指をクルクルと回した。
「はぁ、なるほど」
「だからかどうかはわからねえが、あいつはウソがつけないんだよね。ウソつけば済むようなことも本当にしちまうから、まあ、さんざんそれで酷い目にもあってたよ。いわゆるイジメだとか使い走りだとかね」
「なるほど」
「まあ、俺なんかは学年が違ったからそんなに詳しくは知らないけどね。あの、角のコンビニの店長が徹のタメだから、茂にも聞いてみたらいいよ」
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