Ⅱ 疑惑への疑惑 4-2

「はぁ、そうですか」

「ちょっと待っててくださいよ。奥に子どもがいますから・・・ちょっと、おい、孝洋、ちょっとね、弁護士さんが話があるってよ」

しばらくすると、奥から40がらみの男が出てきた。

「え?なに?話って、前にも警察に話しただろ?」

「いえね、今度は弁護士さんだって」

「あぁそうなんだ」

「どうぞ、お話を聞かせてもらえませんか。国定徹さんがどんな感じの人だったかを知りたいのですが」

「どんなって、まあ、あいつが人を殺すなんてね。驚いたよ」

「そうですか。驚かれましたか?」

「ええ、だってあいつは人を殺すようなタマじゃないですよ。せいぜいがコソ泥の器だよ。それが、まあ人を殺しちまうんだから、なかなかやるもんだね。なんてこと言っちゃあ亡くなった人に悪いよな。でも、あのいじめられっ子で弱虫の徹がよぉ」

「そうですか。本人もやってないって言っているんですよ」

「へ~、そうなんですか。だったら本当にやってないかもしれませんね」

「え?どういうことですか?」

「まあ、ちょっと見にはわからないかもしれないですけど、あいつはちょっとね・・・」と国定孝洋はこめかみの脇で、指をクルクルと回した。

「はぁ、なるほど」

「だからかどうかはわからねえが、あいつはウソがつけないんだよね。ウソつけば済むようなことも本当にしちまうから、まあ、さんざんそれで酷い目にもあってたよ。いわゆるイジメだとか使い走りだとかね」

「なるほど」

「まあ、俺なんかは学年が違ったからそんなに詳しくは知らないけどね。あの、角のコンビニの店長が徹のタメだから、茂にも聞いてみたらいいよ」

0 件のコメント:

コメントを投稿