何かを見つけるために、そして見逃している何かがないかを確かめるために。
しかし、何度見直しても、その映像からは何ら手がかりらしきものは得られなかった。
何度見ても国定徹の姿は見つけられなかったし、コンピューターで処理してもそれは変わらなかった。
ナカジマという名前が萩原の頭にこびりついていた。
しかし、「ナカジマ」という名前、それ以上のものは、現段階では得られそうになかった。
やはり、直接、高山真彦をあたらないとダメだな、と萩原は思った。
「新島、真彦に直接行くぞ」
「あ、はい。でも、大丈夫ですか?」
「ちょっと話を聞くだけさ」
萩原は立ち上がり、椅子の背に掛けたジャケットを取った。
高山真彦のアパートは、太田市内の街中にあった。
事件があった高山家からは、車で10分位離れたところだ。
新島がチャイムを鳴らすと、中からだるそうに真彦が出てきた。
金遣いの荒そうな男の乱雑な部屋だった。
「なんですか、刑事さん?まだ何か用ですか?」
「いや~用ってほどじゃないんですがね・・・」
新島が軽い口ぶりで言った。
「忙しいんですよ」
「すみません、すぐ終わりますから。今からお仕事ですか?」
「いえ、違いますけど、悪いですか?」
「いえいえ、お手間は取らせませんから・・・」
「高山さん、あなた借金がありましたよね?」
萩原は単刀直入に訊いた。
「えっ・・・それがなにか?あったら悪いですか?」
「悪いとか良いではなくて」
「ええ、ありましたよ。それまではITバブルでいい感じだったんですけどね、バブルが弾けたら事業がポシャッちゃいましてね」
「すごいですね、青年実業家ってやつですね。そうですか、それでは借金もかなりの金額ですよね?」
新島がへりくだった感じで言う。
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