Ⅳ 無知の暴露/真実の暴露 7-2

「・・・」

真彦は悲しそうに顔を伏せた。

「失礼。辛いことを思い起こさせてしまって、すみません」

「いえ、大丈夫です」

「高山さんは、事件の第一発見者ですよね?」

「ええ、そうです」

「その時のことをお話しいただけませんか?」

「はい。あの日は、朝、電話したんです」

「何時頃?」

「7時とか、まあ、そのくらいです」

「いつもそのくらいに電話をしたりするのですか?」

「まあ、時々は。決まった時間とかは別にありません」

「そうですか。その日はどんな用事の電話でしたか?」

「・・・」

「証人は黙秘権がありますので答えたくなければ、答えなくて構いません」

押し黙っている真彦に裁判長が言う。

「・・・」

「質問を変えます。高山さんはその頃、多額の借金がありましたか?」

「異議あり!本件とは関係ありません」

検察官が横やりを入れた。

「認めます」

「ありましたよ。そうですよ、そのための電話ですよ。それが何か悪いですか?」

法廷内が少しざわついた。

「静粛に!」

裁判長がムッとしながら木槌を叩いた。

「その借金はどれくらい?」

「2000万ですけど」

「それで、どうされました、その借金は?」

「返しましたよ。ちょうど、保険金が出たんで!悪いですか?いけないことですか?親が殺されて、こんなことまで言われて・・・なんだっていうんですか?犯人はそこにいる奴でしょ?」

高山真彦は、ほとんど泣きだしそうになりながら叫んだ。

「証人は落ち着いて話すように。話したくないことは話さなくてもよいのですよ」

裁判長が真彦を諌めた。

「・・・はい。すみません」

「高山さんは事件のあった時間、どこで何をしてましたか?」

山中がなんでもないように訊いた。

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